光造形機のジュエリー用レジンの種類。使用レポートとおすすめレジンメーカー情報。

ジュエリー業界では、CADでデータを作成し原型や直接ジュエリーを作ることが増えてきました。CADで作られたデータは、造形機にかけて3Dにします。

その際の造形機は大きく分けて、インクジェット式のものと、光造形機があり、今回は後者のものを使う場合のレジンの紹介をしたいと思います。というのも、私が使い始めてから、調べてもあまり情報量少なく苦労したからです。

造形機にもいろいろ種類があり、インクジェット式の造形機は、サポートも必要としないので、最も綺麗にキャストできるとされますが、まだまだ高く、個人ではとても購入できません。

私の使っている造形機は、ELEGOO MARS ULTRAで、造形機選びについての情報は、こちらの記事をご覧ください。(現在工事中)

目次

光造形機用のジュエリー製作用レジンの種類とは?

ジュエリー製作過程に使うレジンは、用途別で2種類。造形のサンプルや形状チェックに使う通常レジンか、そのまま鋳造するキャスタブルレジンです。

形状チェック用通常レジン

通常のレジンは、キャスト時の高温でも燃えにくいため、そのまま鋳造はできないこともありませんが、不良が多くでるといわれます。

キャスタブルレジン

それに比べ、キャスタブルレジンは、ワックスが入っており溶けやすく、そのままキャストできます。(この点については、通常レジンをキャストしてもらい、そのうち検証する予定)

石の形が特徴的だったり、一個しか作らないものは、ダイレクトキャストできると、ゴムを切らなくてよいのでコストダウンできます。

ただ、キャストの精度に関しては細かいものはキャストあがりにかなりむらがあります。
同じものでも、綺麗にあがったり、スがでたりするので、
多少コストがかかっても、精度高く仕上げたい場合は、通常レジンで造形し、シリコンなどで表面の積層などを綺麗にした上で、液ゴムをとり、シルバーでキャストします。

それを、もう一度原型として仕上げ、ゴム切りをするのが、一番綺麗に仕上がるように思います。

キャスタブルレジンは、シルバーとゴールドはキャストできますが、プラチナではキャストできません。

実際はキャスト屋さんにお願いするとやってはくれそうですが、スが出て上がりが悪いそうです。
これに関しては、ダイレクトキャストにむいているインジェクション式の造形機であっても、スが多く、仕上げが大変という話を聞きました。
レーザーでスを埋めて、磨いてしまうと、わからないくらいの仕上がりにはなります。

キャストにむいているのは、

No.1 インジェクションワックス
No.2 ハードワックス
そして
No.3 キャスタブルレジン
と言われてます。

キャスタブルレジンのキャストメリットデメリットの記事はこちら↓(現在工事中)

形状サンプルとしてのレジンのおすすめ

通常レジンは、ジュエリー意外の用途で使われることがほとんどかと思います。フィギュアの作成などがメインで、色や素材も様々。ジュエリーの形状サンプル、模型用としては、精度が悪くなく、扱いやすい、それで十分ことたります。高速で造形できる、細かいディティールが表現できる、割れにくい、とうたっているものがおすすめ。

水洗いレジン

通常レジンの中に、水洗いレジンというものが増えてきています。光造形機で一次硬化させた後に、表面に残ったレジンを水で洗いおとせるタイプで、家庭での使用にはおすすめ。ただ、洗い落とした水はそのまま下水に長せませんので、そのあたりは環境保持への注意が必要です。

水洗いレジンの使い方はこちらの記事をご覧ください。(現在工事中)


水洗いレジンでないものは、IPAという特殊液で残留レジンを洗い流すか、無水エタノールで洗います。

IPAとはイソプロピルアルコールの略で、お酒のアルコール成分であるエタノールと同じ、アルコール類の一つです。毒性が高く、飲むことはできません。有機溶剤中毒予防規則(有機則)にも該当する溶剤で、有害性が高く、廃棄にも注意が必要なので工場長におすすめできないと言われ、私は手をだしていません。

無水エタノールは、ドラッグストアで購入できます。私は、タッパーに入れ、残留レジンを筆で洗い流すようにして、また蓋をしめて保管するようにしています。

色はグレー系がおすすめ

色は、サンプルとして試着したりすることを考えると、透けてディティールが見えないより、不透明でメタルよりのグレー系が無難かと思います。白と黒も造形の詳細がわからなかったりしがちです。イエローゴールドを意識し、黄色でもよいと思います。

私のおすすめ

造形機と相性がよいものでしたら大抵のものは大丈夫かと思いますが、私は造形機がELEGOO MARS ULTRA、とりあえずは安くて使いやすいもの、と探したところ、ELEGOOの純正品のレジンがアマゾンで値引き中だったこともあり、こちらにしました。

こちらは、積層0.3mmで造形しても、かなり詳細は表現できます。主に私は造形の形状や装着感の確認に使うので、十分すぎるくらいの精度で満足しています。

はじめは500gを購入しましたが、大きなバングルなどだとかなり使うので、次には2kgのものを購入しました。かなりお買い得です。

慣れるまでは露出時間の設定などで、試行錯誤を繰り返しました。短すぎると形にならず、フィルターにくっついて、無理に取るとフィルターが破れ、てんやわんや(涙)

ELEGOOのHPに設定リストが載っていることを、知り合いの職人さんに教えてもらい、参考にしました。下のELEGOOダウンロードセンターというページの、マテリアルから、セッティングガイド欄の一番上の、オフィシャルセッティングガイドにて、お使いの機器によって、レジン別の設定リストがダウンロードできます。

水洗いレジンの使い方、処理の仕方、後片付けの仕方はこちら(現在工事中)

ダイレクトキャストのためのレジンのおすすめ

ダイレクトキャストのレジンは、あまり種類は多くありません。

SYRAYA TECH 

成功するのか、使えるのかもわからないので、安い海外性のものをまず、購入してみました。

こちらの設定は、どこを探しても謎だったので、水洗いレジンと同じような設定で試しにやってうまくいきました。実際の設定はこちら↓

手をいれてない部分は、ぼっそぼそにあがってきます。やすりをかけると中はぼそぼそではないので、大きめに作って削るなら、原型にも使えそうですが、爪などの細かいところにスが入るとやっかいです。
全体的に表面はぼそぼそなので、やすりで綺麗に整えた部分は、この画像の表面よりかは綺麗にあがってきます。

ですので、樹脂の時点で手がはいらない部分はどうしても綺麗にあがらない、ということです。

綺麗に整えても、ぼそぼそに上がったり、意外に綺麗にあがったりするので、これは樹脂の表面を整えてキャストをするかどうか、ではなくキャストの際に石膏の中で綺麗にものが溶けているかによるものだと考えています。

何度か精度が悪いことが続き、嫌になって使うのをやめました。
ただ、積層を0.01に設定しても、それほど時間がかからず出せるので、さくさく作れる点はよかったです。形状によっては、

上がった後のけずりやすさは、ちょとと粘り気がありますが、削れます。

SK本舗 キャスタブルレジン

日本メーカーで精度が高いが価格も高い、職人仲間から聞いており、チェックをしていました。海外メーカーの鋳造が綺麗にあがらないので、意を決して購入。

扱いにかなり苦戦する日々

スライス設定が、SK本舗のサイトに載っているので、それを参考にしましたが、全く何もくっついてこず、スライス設定に想像以上に苦戦しました。

ELEGOOの水洗いレジンと、海外性キャスタブルレジンは、すこしねっとりしているのですが、このレジンはシャバシャバで、露出時間を長くしても、何も固まってこないのです。

ネットで調べ、露出時間を大幅に長くしている方(たしか60秒とか)の情報を得て、長くしてみましたが、それでもうまくいかず、最終的には6.3Sに露出時間を設定。やっとかたまってくるようになしました。

レジンの使用の適切室温が25-30度くらいと言われ、冬になると換気も考慮し窓際においてある造形機まわりは、寒くなるので、そのせいもあるかと思いますが、しばらく使っていると今度はえらく造形が太ってでてくるようになりました。

それに、毎回ちゃんとボトルのレジンを振って使ってなかったからか、残ったレジンに固まりが出てくるようになりました、、、寒いので固まったようなイメージ。
画像の下の輪は、サポートが足りず落ちた造形がフィルターにくっついてしまった部分。
これを慎重に取らないと、フィルターが破れて大変なことになります。

サポートも太っていることに気づき、これは何か対策が必要かと、またネットで散々検索。
どうやら、リフト高さを高くすると、ふとったレジンがましになるようで、4.0から8.0に設定を変えて、やっとちょっと太った、くらいででてくるようになりました。

SK本舗の出力用パラメーターはこちら

私が最終出していた設定はこちら↓

後処理は想像以上に楽

一次硬化完了後には、無水エタノールにつけて、表面を筆で洗い、未硬化樹脂を落とします。
とりきれてない時は、二次硬化後もべたついたりします、、が、表面はキャスト前にやすりで整えるので、やすりをかけると、べたべた感はなくなるので、よしとしています。

やすりをかけた感触は、結構硬いです。粘り気はなく、粉状でけずり落とせます。
ワックスで補強したりしますが、くっつきはあまりよくありません。

左は樹脂をやすりとシリコンで磨いた後、右がキャスト後の拡大図。
めっちゃざらざらに見えますが、シンプルなフォルムならこの程度なら、磨いて原型にしたり、磨いて石を留めれば一点ものとしては使えそうです。

細かいディティールは断念することも

ブレスのかなり細かいパーツを、何度か作成しましたが、溝の部分にレジンが溜まり、なかなか造形でも綺麗にでませんでした。
何度か試作を重ね、いけるかなと思った状態でキャストをしたところ、やはりキャストも不良で溝は綺麗に出ず。この精密度は一旦断念しました。
下のような溝が、1.5mmくらいでも角が埋まったりなかなかうまくいきませんでした。
こういう形状を原型にするには、レーザー彫りの深いものが一番精度高く上がりそうです。

今回は、レジンをいくつか使ったレポートを書いてみました。造形機を始めたい時の参考になると幸いです。

このサイトはSWELLを使って作成されました。

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この記事を書いた人

ジュエリーデザイナー26年
ジュエリー職人4年 CAD0.5年
ジュエリーブランドディレクター10年
製作が好きで飛び込んだジュエリー業界で様々な経験を積みながら
品があるデザイン、上質といえる技術を模索。
”静寂なる輝き”を極める旅を続けています。

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