銀色のメタルの種類とは?
仕事でお会いするお客様で、着用されているものはハイジュエリーばかりなのでプラチナばかりかと思うのですが、銀色のメタルのことを、シルバーが欲しいとおっしゃることがあります。
確かに色を表現するのはシルバーカラー=銀色というワードにはなるのですが、着ける側にとっては、色味が問題で、大して素材に関しては、変なものでなければいいのかもしれません。😅
一般に、お店などに並ぶジュエリーと言われるもののうち、銀色のメタルは、プラチナか、ホワイトゴールドか、シルバーです。
この記事では、銀色のメタルについて説明しようと思います。
プラチナの特徴
変色しないメタルで、純度高く宝飾品として使用できます。粘度あり細い線でも割れたりしにくいので、繊細な表現の石を留める爪などに使われ、デザインの幅を広げてくれた歴史があります。
比重が重く、(原子と原子が詰まっているからだと思っているのですが) 研磨すると、艶やかに輝きます。
落ち着いたグレーの色味です。粘度はありますが、柔らかいので、リングの腕などはある程度の厚みを持たせるか硬化処理というのが必要になります。(その方が長く使用できます。)
シルバーの特徴
刀のつかなどを作るかざり職人がいた頃から、日本人は慣れ親しんだ素材です。
プラチナに比べて明るい銀色が特徴です。シルバーは空気中や汗に微量に含まれる硫黄と反応して黒変します。比重が軽く、重さはプラチナの半分なので、大ぶりのリングでも装着しやすい、というのが利点です。
プラチナ、ゴールドに比べるとメタル自体が安価です。
シルバーにゴールドメッキをすると、見た目が金色で軽いジュエリーになります。ただ、メッキを施したものも硫化による変色がみられる場合もあります。
細工面からすると、熱伝導が金属中最も高く、一部だけ熱して細工ができないので細やかな作業は難易度が高くなることがあります。
スターリングシルバーと、聞いたことがあるかもしれません。
スターリングシルバーとは、92.5%がシルバー銅が7.5%の合金のことで、日本のシルバー製品はだいたいがシルバー925です。
ホワイトゴールドの特徴
ゴールドは、たとえば18金の場合、18/24の75%が、金で、その他の25%が合金として他の金属が入っています。
純金はとても柔らかく、ジュエリーとして耐久性が低すぎるからです。
ホワイトゴールドは、合金にシルバーやパラジウムが入っており、白めのメタルに寄せています。ただ、 75%が黄色い金ですので、真っ白というわけにはいかず、仕上げにロジウムメッキを施すのが普通の仕上げになっています。合金の部分のシルバーは、変色するので、摩耗しメッキが剥がれると変色する可能性もあります。
ホワイトゴールドは大抵強度が高く、細長いような細工でもぐにゃっとしにくいため、細いラインでデザインできます。
プラチナよりも、比重も少し軽いので、パーツが多く繊細なデザインのネックレスなどを作る時や、オープンタイプリングなど、少しでも軽く装着性を保ちながら強度を持たせるという面では最適な素材です。
それぞれの素材のメリットデメリット
プラチナのメリットデメリット
プラチナのメリットは、一生変色しないということです。また、柔らかさがある素材の特徴を活かし、繊細な細工にむいているという点もメリットです。
デメリットとしては、重たい素材なので、大きなものには不向きです。ブローチなども、プラチナで製作するとなると常に重量が課題になります。
シルバーのメリットデメリット
プラチナに比べ、シルバーはプラチナの約半分の重さで、軽いのが特徴です。ですので大ぶりのリングなどにも向いています。
色味は明るい銀色で、プラチナより優しい印象。磨かれたシルバーは、光沢感もプラチナより優しく独特の美しさがあります。
デメリットといえば、変色する点でしょうか。凹みの部分が変色し、肌によく触れる部分は擦れて変色しづらいので、凹んだ部分をわざと黒くしておく、などデザインでの工夫も可能です。
また、製作面では、ロウ付けをする場合は、全体が熱されないとロウが流れないので、私が職人を始めた若かりし頃は、シルバーで作れればなんでも作れる、と言われました。
ホワイトゴールドのメリットデメリット
ホワイトゴールドのメリットとしては、細い線でも固いので耐久性があり、細いラインのデザインに活かすことができる点です。
比重の関係でプラチナより軽くあがるので、大きめのものを重量が重くなりすぎないようにホワイトゴールドで作ることもあります。
デメリットは、やはり75%はイエロー(ゴールド)なので、メッキをかけてもいずれは変色するということでしょうか。メッキは掛け直しが可能ですが、石によっては何度もメッキ液につけない方がよいものもあるので、注意が必要です。
目的のよる選び方
結婚指輪や婚約指輪には
結婚指輪や婚約指輪には、純度の高さ=ピュアさが高い、という点と、変色のなさから日本ではプラチナが主流です。
イギリスでは、どちらかというとゴールドとホワイトゴールドの方が多かったように思います。
プラチナの製品が主流なのは、世界でみても日本がダントツ一位かと思います。アメリカもホワイトゴールド、イタリアもホワイトゴールドが多いです。
実は世界でも日本だけ、プラチナが主流なのです。ほどんどの国では、白い地金はホワイトゴールドがほとんどです。
カジュアルジュエリー
お値段が比較的手頃なものは、シルバーが主流です。大ぶりのメンズライクなリングなども、シルバーがほとんどのように思います。
重さの問題解決
大きなブローチなどは、プラチナでは線が細く作ると、容易にまがる可能性があるので、厚みをもって作る必要がでてきます。その点、ホワイトゴールドは固く、細い線でも曲がりにくいため、全体的に細く構成することができます。
比重で考えても、同じ立体をプラチナ900で作ったものが、18金のホワイトゴールドでは、重量が8割くらいになります。
それぞれの素材のメンテナンス
プラチナのメンテナンス
摩耗による傷や、長年使用した場合は変形などはやむを得ませんが、研磨剤付きのクロスなどで磨くとまた綺麗になります。
シルバーのメンテナンス
経年で変色します。温泉など硫黄成分が入っているものには気をつける必要があります。傷はプラチナやゴールドよりもつきやすいですが、それも愛用の印だと思って大切にするのが理想です。磨き直しでシルバー独特の輝きをとりもどすことができます。
ホワイトゴールドのメンテナンス
通常ロジウムメッキがされており、メッキがとれなければプラチナと同様の色味と輝きが保たれます。
プラチナと同じように、クロスで拭くと汚れはとれやすいですが、あまり強く拭くとメッキが剥がれ、変色の原因になります。私は長年日本のジュエリー業界で仕事をしていますが、ホワイトゴールドがどのように経年変色するのかは、実際目で確認したことは記憶にありません。
それくらい、ホワイトゴールドよりプラチナの方が商品としてはよく使われています。
プラチナ、シルバー、ホワイトゴールドの価格の違い
価格でいうと、2023年1月現在、金がここ数年で高騰しているので、宝飾で使うプラチナ900と、18金ホワイトゴールドの価格は、同じくらいです。シルバーはグラムで比べるとずっと安いです。
日本では、色の表現のことも銀色、というので、プラチナのメタルと余計に混同しやすいのかもしれません。あ、でも英語でもsilver colourですかね。
同じ銀色の素材でも、特徴は様々です。何か選ぶ時の一つの判断材料になれば幸いです☺️
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