パスタクイーンには派手なものが合う、日本人には日本人に合うものがあるはず
イタリア人でも、アメリカ人でもなく、日本人にとって似合うジュエリーとは?をずっと考えながら仕事をしています。
先日、アパゾンプライムで、パスタクイーンという、私から見ると典型的イタリア人の女性が、イタリア料理を紹介する料理番組があり、日本にはない感じが妙にはまって、夫婦で見ていた時に、主人がふと「この派手なイタリア人の人にジュエリーのモデルになってもらったら?」と言われたのです。
その際に、「このイタリア人に合うものは、彫りも深い顔で、化粧も濃く、服も派手、おっぱいも大きくお尻も大きいので、大きく派手でないと負けてしまうので、私がデザインしているジュエリーは大きいものでないと、合わないし、顧客像からも差がありすぎるわ」なんて笑って話していたのですが、
後から、自分の言葉に、妙に納得した部分があったのです。
どんなジュエリーが似合うか、に影響する点
顔の派手さと身体の派手さは、おおいに何が合うか、に影響してきます。
アジア人は、骨格も華奢な人が多く、胸も小さい人は、小ぶりなもので十分派手さが演出できるように思います。
また、年齢や、人生経験も、どのくらい派手なものを着けてあうか、に影響します。
つけ慣れる、ということもあります。スーツなんかも、新卒で初めて着る人は着慣れない感じがどうにも拭えませんが、何年も来ていると、着慣れてしまうものです。
ハイヒールに憧れて、初めて履く時は、ヨタヨタしてしまうものですが、履き慣れてくるとまわりから見ても普通になる、そんなものです。
全世界の人々が描く理想的ジュエリー像
全世界の、ヨーロッパへの拭いされぬ憧れ、は永遠にあるように思います。
ディスニーのプリンセスに出てくる青い瞳の金髪色白の可愛い女の子。プリンセスや女王。
ふりふりのワンピースに、お花畑。
五歳の娘も、もはやプリンセスに虜です。
洋服を毎日着るようになり、島国であるからこそ、異文化への憧れは強いDNAがあるようにも思いますが、西洋と同じ生活スタイルをするようになった今、私の世代は、祖母がやっと日常着物をきていたのをかすかに記憶にある世代。自身は洋服で育っています。
日本は日本独自のものを、なんて言っても手足が長いとよく見えるし、洋服の日本ブランドも、モデルは西洋人がメジャーです。その方が、私たちの感覚で、「カッコよく」見えるからですよね。
ジュエリー文化の話
西洋への憧れはいかにして生まれたのでしょうか。ジュエリー文化について少し考えてみたいと思います。
ジュエリー文化は、ヨーロッパの贅沢極めるプリンセスの存在によって発展してきました。プリンセス様様です。そうやって技術も発展してきたのです。
貴族王族の時代が終わってからは、デザインはそれほど発展していないように思います。
お金持ちがいる国では、技術者が増える傾向で、アメリカ国内などは、ティファニーが台頭し技術もデザインも発展したように思います。
いつか、ジュエリーデザイン史もまとめることにしましょう。
日本のジュエリー史
さて、話は日本に戻り、
日本に西洋文化が入ってきた鹿鳴館時代のあたりに、ダイヤモンドの指輪なんかも日本にどんどん入ってきました。刀がなくなり、仕事がなくなったかざり職人が、日本のジュエリー製作技術を支え発展させてきました。
祖母時代の方が旦那様から贈られた、ダイヤ、ルビー、サファイヤ、エメラルド、翡翠などのリングは、今見ても繊細に丁寧に作ってあるものが見られます。西洋の影響そのままに、石が飛び出しているデザインがほとんど。西洋貴族は、家事などは召使がするので、指輪が飛び出している方が石が目立っていいのですよね。
そんな、西洋そのままの時代から、ここ30年くらいは、日常的に着けやすい、高さがなるべく低い、とつくられたものが多いです。戦後家事育児は、お手伝いさんがやるという家も減り、中級家庭の暮しも裕福になることで、ジュエリーを日常的に楽しむ人が増えたからでしょう。
バブル時代は、デザイナーも多く台頭し、現在、業界を代表する宝石卸メーカーも、作れば売れるという時代。職人も増えて自分のデザインを売るデザイナーも増えました。
この時代が、今の業界の悪い習慣につながっているように思えて仕方ありません。
なんでも売れる時代は、なんでも作ります。デザインもそれほど重要とされません。売れればいいと思ってしまいます。
問屋制が確立しているので、メーカーが作るのは、仕入れ先のおじさんが好みそうなものです。おじさんが売りやすい商品が増えていきます。おじさんが、職人さんに指示して作ります。おじさんの想像以上のものは生まれません。それも必要ではないのです。
これから必要とされるものを、考えていきたい
さて、バブルもはじけ、情報に溢れ、普通っぽいアイドルがテレビに映り、どこにいてもネットで同じものが買える、そんな時代に、どういうジュエリーが必要とされるのでしょうか。
もう、おじさんの想像範囲内のものはいらないように思います。
メーカーも、デザイナーと同様に、何を大切にして、(価格なのか、デザインなのか、会社のポリシーなのか、)ジュエリーを作っていくのか、そこが重要になると思っています。
一デザイナーとしても、普通のものをつくっていては、もうどんな顧客も満足できないだろうと思っています。
同じようなことを、何度も記事にするかもしれませんが、何度も何度も考えたいと思っています。
そんなこんなを長々と考えた日でした。
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