デザイン思考とは何か|ダブルダイヤモンドから考える、問いと社会のデザイン

「デザイン思考」という言葉を聞くと、
新しいアイデアを生み出すための方法、
というイメージを持つ人も多いかもしれません。

けれど、TCLでデザイン思考やソーシャルデザインについて学ぶなかで、
私が感じたのは、デザイン思考の本質は、
単にアイデアを出すことではないということでした。

むしろ重要なのは、

「そもそも、私たちは何を問題として考えるべきなのか」

を見つけることです。

そしてそのために使われる代表的な考え方の一つが、ダブルダイヤモンドです。


目次

ダブルダイヤモンドとは

ダブルダイヤモンドとは、デザインのプロセスを、

広げる → 絞る → 広げる → 絞る

という、2つのダイヤモンドの形で表したものです。

一般的には、次の4つの段階に分けられます。

Discover|発見する

まず、問題を決めつけずに広く観察します。

人の行動を見る。
話を聞く。
環境を見る。
そこにある違和感や、不便さ、感情の動きを探す。

ここでは、すぐに答えを出すことはしません。

むしろ、

「なぜ、こうなっているのだろう」

「本当に問題はここにあるのだろうか」

と視野を広げていきます。


Define|問いを定義する

次に、集めた情報を整理し、

「本当に考えるべき問題は何なのか」

を絞り込みます。

たとえば、

「電車で席を譲らない人がいる」

という現象があったとします。

そこで、

「もっと思いやりを持ちましょう」

と考えるのは、一つの解決方法です。

けれどデザイン思考では、その前に問いを変えてみます。

なぜ、席を譲りたいと思っていても行動できないのか。

周囲の視線が気になるのか。
相手が必要としているか分からないのか。
声をかけること自体に心理的なハードルがあるのか。

そう考えることで、

「人のやさしさに頼らなくても、自然に助け合える環境をつくることはできないだろうか」

という、別の問いが生まれます。

最初のダイヤモンドは、

答えを探すためではなく、正しい問いを見つけるためのプロセス

だと言えます。


Develop|可能性を広げる

問いが定まったら、今度は解決方法を広げていきます。

サインを変える。
空間を変える。
仕組みを変える。
映像を使う。
ARを使う。
人と人とのコミュニケーションのきっかけをつくる。

ここでは、一つの正解を急いで選ばず、さまざまな可能性を出します。

論理だけではなく、想像力も必要になります。


Deliver|つくって、試して、絞る

そして、考えたものを実際に形にしてみます。

模型でもいい。
絵でもいい。
簡単なプロトタイプでもいい。

実際に人に触れてもらい、反応を見ます。

すると、頭の中だけでは分からなかったことが見えてきます。

本当に行動が変わるのか。
分かりやすいのか。
人はどう感じるのか。

そこで得た気づきをもとに修正し、最終的な解決策へ絞っていきます。

つまりデザイン思考とは、

考える → つくる → 試す → 気づく → また考える

という循環でもあります。


デザイン思考で大切なのは、「すぐに解決しない」こと

私たちは仕事でも日常でも、何か問題が起きると、
「どうすれば解決できるか」
をすぐに考えます。

けれどデザイン思考では、その前に、

「そもそも、その問題の捉え方は正しいのか」

と問い直します。

ここが、私にとってとても印象的でした。

目の前に見えている現象と、本当の問題は、必ずしも同じではありません。

だからこそ、一度広げて考える。

そして絞る。

そこから再び可能性を広げる。

最後にまた絞る。

この発散と収束を繰り返すことが、ダブルダイヤモンドの基本です。


ソーシャルデザインでは、対象が「社会」に広がる

さらに、TCLで学んだソーシャルデザインの視点を加えると、デザインの対象は商品やサービスだけではなくなります。

人の行動。
人と人との関係。
空間。
制度。
情報。
文化。
社会の仕組みそのもの。

そうしたものまで、デザインの対象として考えることができます。

たとえば、

「困っている人がいたら助けましょう」

と言うだけなら、個人の善意に任せることになります。

やさしい人は行動する。
勇気のある人は声をかける。
そうでない人は行動できない。

けれどソーシャルデザインでは、

「人がやさしく行動しやすくなる環境そのものをつくれないか」

と考えます。

つまり、

人を変えようとするのではなく、人の行動が自然に変わる条件をデザインする。

ここに、ソーシャルデザインの面白さがあります。


「違和感」は、問いの入口になる

そして、こうしたデザイン思考を考えていくなかで、
もう一つ大切だと感じたのが、

違和感です。

「なぜ、こうなっているのだろう」

「便利なはずなのに、なぜ疲れるのだろう」

「正しいことを言っているはずなのに、なぜ人は動かないのだろう」

そうした小さな引っかかりは、単なる不満ではありません。

もしかするとそこには、

まだ言葉になっていない問題や、別の可能性

が隠れているかもしれません。

違和感を感じる。
観察する。
問いをつくる。
可能性を広げる。
つくって試す。

そして、より良い形へ絞る。

この一連の流れが、デザイン思考の大切な部分なのだと思います。


デザインとは、形をつくることだけではない

デザインという言葉は、
どうしても「見た目」や「形」を整えることとして捉えられがちです。

けれど、デザイン思考やソーシャルデザインを学ぶと、その意味はもっと広がります。

デザインとは、

より良い未来の状態を想像し、その状態が生まれるための条件をつくること。

なのかもしれません。

その出発点にあるのは、必ずしも特別な技術ではありません。

「何かがおかしい」と感じること。
「本当にこれでいいのだろうか」と問いを持つこと。

そして、自分が感じたことをそのまま流してしまわず、もう少し深く見てみること。

そう考えると、デザイン思考の始まりには、やはり感受性があるのだと思います。


まとめ|デザイン思考は「問い」と「可能性」をつくる方法

ダブルダイヤモンドをシンプルに表すと、

Discover|広く発見する

Define|問いを絞る

Develop|可能性を広げる

Deliver|試しながら絞る

という流れです。

そしてデザイン思考とは、

発散と収束を繰り返しながら、
「本当に考えるべき問い」と「より良い答え」の両方を探していく方法

だと私は捉えています。

さらにソーシャルデザインの視点を加えると、その先には、

人を変えるのではなく、人の行動や関係性、
社会の仕組みそのものをより良い方向へデザインする

という考え方があります。

答えを出す力だけではなく、
問いを見つける力。

そして、まだない可能性を想像する力。

それもまた、これからの時代に必要な「デザインする力」なのだと思います。

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この記事を書いた人

ジュエリーデザイナー26年
ジュエリー職人4年 CAD1年
ジュエリーブランドディレクター10年
製作が好きで飛び込んだジュエリー業界で様々な経験を積みながら
品があるデザイン、上質といえる技術を模索。
”静寂なる輝き”を極める旅を続けています。

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