デザインとは「感性」だけでは成立しない|建築から学んだ、社会とつながるデザインの本質

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デザインは「センスの良さ」だけではない

最近、ソーシャルデザイン論を学ぶ中で、改めて強く感じていることがあります。

それは、
デザインとは、単に“美しい形を作ること”ではない
ということです。

私はジュエリーデザイナーとして長年仕事をしてきましたが、
つい「感性」や「美意識」に意識が向きがちでした。

けれど最近、夫がよく話している“建築の考え方”を聞いていて、

「ああ、デザインとは本来こういうものなのだ」

と、深く理解できた気がしました。

建築は「感性」だけでは成立しない世界

建築は、
感性だけでは完成できない仕事
というような話を聞きます。

建築には、

  • 構造
  • 安全性
  • 法規
  • 予算
  • 動線
  • 用途
  • 維持管理
  • 地域性
  • クライアントの目的

など、非常に多くの条件があります。

その条件を無視して、
「自分の作りたいもの」だけを作ることはできません。

例えば、
事務所ビルと高級ホテルでは、
求められる空気感も、素材も、空間の質も違います。

限られた予算の中で、
どこにお金をかけ、
どこを抑え、
どんな空間体験をつくるか。

そこには、
理論と構造の理解が必要です。

そしてその上で、
“その条件の中で、最も美しいものをつくる”

事務所ビルと最高級ホテルまで様々なレンジがある仕事の種類の中で、
この仕事が求める範囲の中で、
その中で自己の感性を生かしていいものを作る、

それが建築家の仕事なのだと。

「自分を表現すること」と「価値を設計すること」は違う

私はこの話を聞いて、
“アーティスト”と“デザイナー”の違い
を、改めて考えました。

アーティストは、

自己表現を軸に作品を作ることができます。

しかしデザイナーは、

社会や人との関係性の中で成立させる必要がある。

つまり、

デザインとは「価値を設計すること」

なのだと思います。

誰のために、
何のために、
どのような感情を生み、
どんな体験を残すのか。

そこまで含めて設計する。

だから本来、
デザインとは非常に社会的な仕事なのです。

感性だけでも、理論だけでも、美しいものは生まれない

最近強く感じるのは、
感性と理論は、対立するものではない
ということです。

むしろ、
両方が必要。

感性だけでは、
独りよがりになることがある。

理論だけでは、
人の心を動かせない。

だから本当に優れたデザインは、

  • 構造が整理されていて
  • 理由があり
  • 機能し
  • 社会と接続され
  • それでいて、美しい

そんな状態なのだと思います。

ジュエリーも同じだった

これは、

ジュエリーにもそのまま当てはまると感じています。

ジュエリーは小さな世界ですが、

  • 誰に向けて作るのか
  • どんな価格帯なのか
  • どんな場面で身につけるのか
  • ブランドとしてどう記憶されるのか
  • 長く愛されるのか
  • 構造的に成立するか
  • その構造が最も綺麗に見えるか

そういった構造を無視して、
「ただ綺麗なもの」を作っても、
社会の中では成立しません。

だから私は最近、
“造形”だけではなく、
“価値の構造”
を考えるようになりました。

それが、
ブランドであり、
デザインであり、
社会との接続なのだと思います。

人生の態度は、デザインに現れる

ソーシャルデザイン論を学んでいて感じるのは、

デザインとは、
結局「その人の人生の態度」が現れるものなのだ、
ということです。

  • お金との向き合い方
  • 人への敬意
  • 社会への視点
  • 美しさの捉え方
  • 誠実さ
  • 欲望との距離感

そういったものが、
最終的に作品や空間に出る。

だから私は最近、
「どんなジュエリーを作るか」
以上に、
「どう生きるか」
の方が大切なのかもしれない、と感じています。

本当に美しいデザインとは

本当に美しいデザインとは、
派手なものでも、
目立つものでもなく、
制約や現実の中で、
人や社会に対して誠実でありながら、
なお美しいものなのかもしれません。

そして私は、
そういう視点で仕事を語れる人を、
心から尊敬するのだと思います。

建築の話を聞きながら、そんなことを感じた夜でした。

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この記事を書いた人

ジュエリーデザイナー26年
ジュエリー職人4年 CAD1年
ジュエリーブランドディレクター10年
製作が好きで飛び込んだジュエリー業界で様々な経験を積みながら
品があるデザイン、上質といえる技術を模索。
”静寂なる輝き”を極める旅を続けています。

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